2014年06月12日

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去年のまだ寒い春のことになります。山王峠で雌シカの礫死体に出会いました。
私が死体を見つけた時にいつもする作業は「森へ還す」ということです。 
このときも、シカの手足を引きずって薮のなかへ運びました。

森の循環を見るとき、「生まれる」と「死ぬ」という現象はどちらも同じくらい必要で大切な過程です。
私たちは誕生を憂い、死を忌みる習慣をもつ生き物ですが、生まれてばかりいては森のバランスは崩れてしまいます。
そうして生き物たちは皆、森の法則のなかで暮らしています。

イノシシは土を掘って土壌生物に新鮮な空気を与えます、ムササビは樹木の剪定をして実のなりを良くします、タヌキたちは美味しく実った実を食べてフンとして種子を遠くへ運びます。シカはフンを撒きながら広い範囲を移動して土を肥やします、そして厳しい冬が来るとたくさんの仔ジカが死んで森の動物たちの貴重な食料となります。

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私が運んだシカは、わずか7日で骨と皮だけになりました。草地の上に置いたはずですが、辺りは動物たちに踏み均されて土がむき出しになり、奥へつづく獣道も出来ていました。ここからは虫や小動物たちの作業が始まり、やがて土に還ります。
こうして土が活性し、森が元気になって命を繋いでいくのです。

山王峠は、毎日たくさんの車がスピードを出して走っています、そして同じように様々な動物たちがこの道路を毎日横断しています。




 

2014年06月02日

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今年も元気な子ムサが姿を見せてくれる季節になりました。
写真はピンぼけになってしまいましたが、好奇心旺盛な男の子です。
もう20メートル近く滑空できるようで、私たちの目の前に飛び出してきました。
せっかくお母さんが前に出て人間たちの目を引きつけていたのに……。

調子にのってカメラを向けていたら、さすがにお母さんから「グラァ〜!!!」とお叱りを受けました。ごめんなさい!!

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(お母さんムササビは全身に力が入っているのが分かります)

こうしていつも注意を怠らないお母さんの子育てはまだまだ秋の終わりまで続きます。
そんな森の緊張感は今の時期だけに限らず、1年中どこかで起こっています。
私たちがそこに気付かないままかれらの生活の場にズカズカ入って遊ぶことは、やはりかれらに対して失礼なことではないでしょうか。

観察会で「ホタルが出るまでに時間があるから、ムササビを観せよう」という軽い気持ちは、このお母さんムササビに対して知らず知らずも圧力をかけていることに繋がりはしないでしょうか。




 

2014年05月28日

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天覧山に棲んでいるアナグマの巣穴にカメラを1ヶ月間仕掛けていました。
写っていたのはアナグマ、タヌキ、シカ、カモシカです。
どうやらここは大小さまざまないきものたちの行き交う交差点のようです。

白味の強いカモシカが朝の6時に写っていました。
カモシカについて、「あそこの地域のカモシカは白い」とか「西へ行く程黒い」などと聞いたことがありますが、私は飯能では白い個体も黒い個体も同じくらいの割合で観ているので 、あまり気にしていませんが、個体識別がしやすいのはありがたいことです。


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タヌキがアナグマの巣穴から出てきました。
「同じ穴のムジナ」という言葉は有名ですが、実はこんな話しがあります。
昔、猟師がアナグマを狩る手法は、数ある巣穴の出口を塞いで1カ所だけ出口を空けておく、そこへ反対の穴から煙を送り込み、たまらなくなったアナグマが残された出口から飛び出して来るというもの。
そのときに、同じ巣穴内で別の部屋を間借りしていたタヌキも一緒にあぶり出されたのだとか。

そんなアナグマとタヌキの生活様式は、今も変わらず受け継がれているようです。
この穴からは、アナグマは1度だけ写りましたが、ほとんどタヌキのカットが多かったので、もしかするとここはタヌキ口、アナグマは別のアナグマ口を使って棲み分けしているのかもしれません。

こんどは別の出口に仕掛けてみようと思います。