2016年05月08日

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私が運転を気を付けていても道路では家路へ急ぐ多くの車が信号のない山道をビュンビュン飛ばしていきます。
私は道路の脇に見える森や畑などをライトで照らしては光る眼を探しながらノロノロ運転をしていたので、早い車が後ろから来ると脇に寄せて譲っていました。

そうしてまた走りだすと、動き方がどうもおかしなテンが反対車線を走っています。
テンは下半身が完全に潰れ、前足だけで体を引きずって隠れ場所を探していました。先ほど譲った車がテンを轢いてしまったようです。どうすればいいのか分からなかったけれど、車を停めてすぐに後を追いました。

民家の庭のツバキの植え込みの中でテンを見つけた時、もうグッタリと顔を伏せていましたが、私が近づくと顔を上げました。

「もうそれ以上来ないで」 

その顔はそんなふうに言っているようでした。 
1枚だけ写真を撮らせてもらい、道路の対岸まで離れて座り、いろいろ考えました。私たちの生活スタイルのこと、野生動物との距離は何処までいくと一線をこえてしまうのか。
もうテンは動きませんでした。

この辺りには鳥獣保護施設はありません、こんな夜間に重傷の野生動物を診てくれる獣医などいるでしょうか。何よりたとえ助かったとしても余生は車イスであり、野生復帰もできなければ子孫を残すこともできません。
いたずらにただ命を永らえるだけならば森へ還すほうがよっぽどノーマルな人生の終え方なのではないでしょうか。

明日になれば掃除屋のカラスやトビがテンを迎えに来ます、美しいテンの毛は小鳥たちが我が子のベッドルームに敷き詰めるのに重宝します。腐肉の好きな様々な虫たちも集まってきっと大宴会が始まります。

そうして森のいきものたちは繋がっているのだと、これから出会ういきものたちも誰かの命のおかげで今出会えているのだと、感謝することが出来そうです。 

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