ロードキル

2017年10月12日

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こちらは8月に撮った山王峠のシカの群れです。
9頭から12頭ほどの群れで、毎夜この道路を横断しては向かいの日当たりの良い集落へ出かけていました。この写真を撮った数日後、中央に映る子供が車にはねられ、死にました。

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(足が長いのを除けば、体はまだキツネほどの大きさでした。)

10月に入り、日の入りがいよいよ早くなってきました。森に棲むいきものたちの活動時間も早くなり、道路の帰宅ラッシュと重なる季節です。

昨夜は私の車のすぐ前に子ジカが飛び出してきました、今夜はタヌキまで飛び出しました。私は40キロのスピードだったので急ブレーキを踏む程ではありません、そして幸いに対向車線を走っていたのは法定速度を守る宅急便のトラックでした。

飯能におけるロードキルについて記録を取り始めて3年になりましたが、これからの時期の事故が多くなるようです。これには原因の一つとして子別れの時期が今だということが考えられます。親元から独り立ちしたばかりで道路の恐ろしさを知らない若い個体たちが事故に遭うことが多いように思います。

逆に、1月、2月の事故が少ないのは何故でしょう。この時期は森に挟まれる道路や坂の多い市街地は凍結することもあり、ドライバーはみんなスピードを緩めているのだと思われます。
それが原因なのだとすれば、スピードを緩めるだけで事故は防げるということになりそうです。

お年寄りや体の不自由な人に通路を譲るように、道路を横断したい野生動物たちがすぐ隣りの森に棲んでいるということを、多くの人々に伝えられたらいいのにと思いました。

今すぐに私たちに出来るロードキルの解決策、それはスピードを緩めることです。
 

2017年08月21日

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雨上がりの山王峠でノウサギが轢かれました。

道路は私たちにとって無くてはならない日常となった現代、道路脇の森に棲むいきものたちにとっても道路が日常となっています。

この道路の右の森、ここは暗くて湿ったスギヒノキの森です。そして道路の左には、人間の手が入った日当たりの良い草場が広がります。
ノウサギは美味しい草を食べに出かけようとしたのかもしれません、それともキツネにでも追いかけられて思わず飛び出してしまったのかも。

「野生動物横断注意」の標識はあるけれど、いつもそこにあることに見慣れてしまって忘れられてしまっているようです。あるいは犬や猫なら可哀想だけど、野生動物なら轢かれてもしょうがないと思う人が多いのが現実でもあります。

「だってしょうがないよ、自分から飛び出してくるんだから」

という人は多いもの。けれどもそんなことは分かっているのだから、そんな風に片付ける必要はないのでは。それよりも

「悪いことをしたね、これから気をつけるからね」

と素直に言える人が増えたほうが、私は今よりももっと自然と共存できる社会に向かっていけるのだと思うのです。

ごめんなさい、ノウサギ。
 

2016年05月08日

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私が運転を気を付けていても道路では家路へ急ぐ多くの車が信号のない山道をビュンビュン飛ばしていきます。
私は道路の脇に見える森や畑などをライトで照らしては光る眼を探しながらノロノロ運転をしていたので、早い車が後ろから来ると脇に寄せて譲っていました。

そうしてまた走りだすと、動き方がどうもおかしなテンが反対車線を走っています。
テンは下半身が完全に潰れ、前足だけで体を引きずって隠れ場所を探していました。先ほど譲った車がテンを轢いてしまったようです。どうすればいいのか分からなかったけれど、車を停めてすぐに後を追いました。

民家の庭のツバキの植え込みの中でテンを見つけた時、もうグッタリと顔を伏せていましたが、私が近づくと顔を上げました。

「もうそれ以上来ないで」 

その顔はそんなふうに言っているようでした。 
1枚だけ写真を撮らせてもらい、道路の対岸まで離れて座り、いろいろ考えました。私たちの生活スタイルのこと、野生動物との距離は何処までいくと一線をこえてしまうのか。
もうテンは動きませんでした。

この辺りには鳥獣保護施設はありません、こんな夜間に重傷の野生動物を診てくれる獣医などいるでしょうか。何よりたとえ助かったとしても余生は車イスであり、野生復帰もできなければ子孫を残すこともできません。
いたずらにただ命を永らえるだけならば森へ還すほうがよっぽどノーマルな人生の終え方なのではないでしょうか。

明日になれば掃除屋のカラスやトビがテンを迎えに来ます、美しいテンの毛は小鳥たちが我が子のベッドルームに敷き詰めるのに重宝します。腐肉の好きな様々な虫たちも集まってきっと大宴会が始まります。

そうして森のいきものたちは繋がっているのだと、これから出会ういきものたちも誰かの命のおかげで今出会えているのだと、感謝することが出来そうです。 

2016年03月20日

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ついに今年初めて野生動物の事故現場に出会ってしまいました。日曜の明け方なんて車の通りは平日よりも遥かに少ないのに・・・。

毛皮の綺麗な健康的なオスのタヌキでした。
今頃のメスのタヌキはお腹に子供がいます。そしてタヌキはこれからの子育ての生活を夫婦で協力しながら過ごしていきます。
もしもこのタヌキにお嫁さんがいるのなら、それはこの森に身重な体の未亡人になってしまったメスのタヌキが棲んでいるということです。

子育てをひとりで行わなければならないとすれば無茶なこともしなければなりません。道路を何度も行き来したり、安易に罠にもかかってしまうかもしれません。
地元の住人にはタヌキもアナグマもキツネもアライグマもハクビシンもみんな害獣だと思い込んでいる人も多く、罠に掛かればみんな殺してしまいます。
そんな住人に「アライとハクビだけにしてくれませんか」と言ったことがあるけれど、答えは「だって放したらまた悪さするじゃないか」でした。
日本産のいきものたちが棲みにくい日本て、どういうことだろう。

タヌキを路肩へ運び、さて山へ運ぶのが近いか川へ持って行こうかとキョロキョロしていると、向かいの家からおじさんが出てきて

「後で埋めといてやるからそこ置いといていいよ、ありがとね」

なんて・・・なんてやさしい人!!!
殺す人もいるけれど、ちゃんと死んだタヌキに敬意を持って土に埋めてくれる人もいるのです。動物の事故死体となると行政に取りにきてもらってそのままゴミと一緒に焼却されるケースが多いものですが、今回のタヌキはちゃんと自分の棲む森へ環ることが出来たようです。
おじさんの気持ちがとても嬉しかった2016年最初のロードキル事件でした。




2015年11月20日

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ムササビを探して神社を歩いていると、参道脇の側溝からタヌキがポコッと頭を出しました。
悔しいことに、側溝のタヌキを撮りたかったのですがなかなかピントを合わせられず 、私に気付いたタヌキが側溝を出て山の斜面を登っていくところを撮らせてもらいました。

側溝は街のあちらこちらでどこにでも見かけるものですが、案外動物たちはこれを使って移動していることが多いようです。落ち葉の溜まった側溝からはヒミズが顔を出したこともあります。
ゴルフ場では土中に何箇所も水抜き用の土管が埋められていて、アナグマ、タヌキ、イタチ、アライグマたちの生活道路や棲み処になっています。

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(ゴルフ場の土管から出てきたアナグマ)

確かに、狭い土管や側溝のトンネルは誰にも見つからず安心して森から街へ出かけることができそうです。
せっかくこんな習性があることをかれらに教わったのだから、私たちにだってなにができるのか、そこから考えなければいきものたちの世界と人間の世界はこれからも真っ二つのままです。

動物たちの横断する道路は大抵決まっていて、当然事故も多いものです。ならば道路を渡れないようにフェンスを貼り、道路の下に土管を埋めれば、たったそれだけでも相当の事故が減るのではないかと思います。

年度末になれば誰もが知っている無駄な道路工事が各地で行われます。
その予算、無駄にはならない工事だって沢山あるはずです。